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ぽかぽか おひるね

まるマシリーズの二次創作小説、有利×ヴォルフラムメインの小説サイトです。

Archive [2012年09月 ] 記事一覧

2008年6月 拍手お礼SS

「グウェンダルー、グウェンダルー!」 「ん? あの声は……」  グウェンダルを呼ぶ声が廊下をどんどん近付いて来て、何の断りも無く扉がバターンと勢い良く開いた。 「グウェンダル、ここにいましたね。喜びなさい、とうとう完成しましたよ!」 「なに、そうか、見せてくれ! ……おお、これがそうか!」  アニシナが手にしているのは何やら光沢のある布だった。それをグウェンダルは受け取り、目を輝かせて検分している。たまた...

2008年5月 拍手お礼SS

登場人物:有利、コンラッド、ギュンター、ヴォルフラム 「おかえりなさい、陛下」 「陛下って呼ぶな、名付け親」 「そうでした、ユーリ」 「……って、今日のお迎えはコンラッドだけ?」 「ええ……実は、ギュンターが五月病になってしまいまして……」 「えっ、ギュンターが五月病!?」 「ええ、そうなんです……最初はなんとなくやる気が出ないとかイライラしたりして、かと思えば急に落ち込んだり、という感じだったのですが、そんな事...

二人の距離 12

 村田の声掛けによってお色直しの時間となり、有利とヴォルフラムは腕を組んでゆっくりと会場を出て行く。拍手に囲まれて笑顔で扉を出、扉が閉まった途端にようやく大きく深呼吸をした。 「はぁ……緊張したなぁ。作り笑顔で顔が引きつっちゃってるよ。あとこれでもう一回着替えて出れば終わりだよな……って、まだなんだかんだと半分残ってるのかぁ……」 「ユーリ、もう少しの辛抱だ。でもお前はまだ良いじゃないか、ぼくなんて、これ...

二人の距離 11

 雲 つ無い青空の下。    渋谷有利とフォンビーレフェルト・ヴォルフラムの結婚式は始まった。  控え室から二人で腕を組んでホテル内の披露宴会場に向かう。介添え人が扉の前で、もう一度ヴォルフラムの白いウェディングドレスの裾を綺麗に整えてくれた。  扉の向こうで、司会者の村田が二人を招き入れる言葉を言い、会場係が扉を両側から開けてくれた。 「行くぞっ、ヴォルフ!」 「おう!」  およそ結婚式に臨む言葉ではな...

二人の距離 10

「ムラターーーッ! お前、よくもぼくにそれを隠していたな! あの時、ぼくが問い詰めた時、ぼくを脅してまでも黙って内緒にしていたのはこれだったんだな! 許さんーーーーーっ!」  怒髪天を突く勢いでヴォルフラムが村田に詰め寄った。襟首(えりくび)をがしっと掴み上げ、苦しそうな村田に構わずぎりりと美しい柳眉(りゅうび)を吊り上げる。有利は自分でも慌ててパニックになりながらも、村田が死んじゃう死んじゃう、とヴ...

二人の距離 9

「んあああぁぁぁぁっ! もう、ドッキドキするーーーーっ!」 「落ち着け、ユーリ」  有利とヴォルフラムは有利の第一志望大学の合格発表を見る為、大学までの道程を歩いていた。大学の門扉をくぐればもう掲示板が見えるという所まで来て、有利の緊張はピークに達した。なにしろ、体全体で喜びを表しながらまるでスキップしそうな位足取りも軽く歩いている者や、興奮で赤く頬を染め上げて、大声で友達としゃべりながら笑い合って...

二人の距離 8

「それで、今日の目玉商品は、こちらでーす。じゃーん!」 「「「「えええええーーーーーーっ!」」」」  美子が自信たっぷりに取り出したのは、なんと振袖一揃いだった。  座っていたヴォルフラムを立たせ、着物を背中から羽織らせた美子は満足げに一つうなずいた。 「ほぉら、似合うでしょー?」 「似合うでしょって、嫁さん、これこそどう見たって女物……」  目を白黒させている勝馬と口をあんぐり開けて声も出せない有利に、...

二人の距離 7

「たっだいまー。ううー、寒いっ! こっちも寒いけど、あっちも寒かったよー」 「おぅ、村田、眞魔国はどうだった? みんな元気だったか? ヴォルフの無事を知って、みんな喜んでたか?」    ヴォルフラムが渋谷家に来て三日目。  村田は前日撮影した渋谷一家四人とヴォルフラムが一緒に写った写真を何枚か持って眞魔国へと渡った。村田一人ではあちらとこちらを移動できない為、有利が道を開いてそこに村田を突き落とす、と...

二人の距離 6

「おれ……さ。正直言うと、な。眞魔国であれだけ多くの民に祝福される結婚も、こっちでは何の意味もなくって、誰にも認めてもらえないんだって事が、凄く心に引っかかってたんだ。だっておれの伴侶はお前だけだ。こっちにはお前がいないからって、こっちではこっちの相手を見つけるってワケにはいかないだろ?」 「当たり前だっ」 「だから……さ。おれはこっちにいる限り、ずっと独りでいる事になる。でもさぁ、決まった相手がいない...

二人の距離 5

「村田、それって……」 「きゃー、ステキぃ! 健ちゃん、それほんとにステキなアイデアね! あたし、とっても嬉しいわ!ゆーちゃんの結婚式が眞魔国で行われるって判った日から、それだけがずっと残念で仕方なかったのよ! いえ、ヴォルちゃんとの結婚が嫌な訳じゃないのよ? ましてや反対などしていませんとも! そうじゃなくて、長年育ててきた可愛い息子の一生に一度の晴れ姿を、見たくない母親はいないでしょ? それにそ...

二人の距離 4

「改めまして、紹介いたします。おれの婚約者、フォンビーレフェルト卿ヴォルフラムさんです。ヴォルフ、これがおれの家族。こっちから、親父、お袋、兄貴の勝利だ」 「ママでしょ、ゆーちゃん!」 「お兄ちゃんと呼べ、と何度も言っているじゃないか!」 「お父さんも、できたらお父さんと呼んで欲しいなぁ」  興味津々で瞳を輝かせている家族の前で、有利は顔を赤くしながら家族にヴォルフラムを紹介した。それに対して一斉にし...

二人の距離 3

「ヴォルフ、ヴォルフ! おれが判るか、ヴォルフラム!」  必死で声を掛ける有利に、ヴォルフラムはぼんやりと視線を向ける。その唇から「ユーリ……」と呟きが出た途端、彼はカッと瞳を開けて跳ね起きた。 「ユーリ、箱は!? 『地の果て』はどうした!? 暴走は止まったのか、ぼくはあの箱を止められたのか!?」 「良いんだよ、ヴォルフ。もうそれは良いんだ、終わったんだよ、全て。だからもう心配しなくて良いんだ」 「終わったと...

二人の距離 2

「うん、まだ目覚めてはいないけど……でも怪我も無いみたいだし、ともかく、今ここにいるから……」  目を閉じたままのヴォルフラムを見詰め、有利はとてつもなく幸せそうに笑った。 「うん、それじゃ、ちょいと診察してみようかな。彼が本当に大丈夫かどうか簡単に診てみるよ。ちょっと場所を明けて」  そう言うと村田はカバンの中から取り出した機械をヴォルフラムの腕にはめ、脇下に体温計を入れて測りながら呼吸数を数えていた...

二人の距離 1

 地球に戻って来てからもうすぐ二ヶ月が経つ。  あれからすぐに村田はあちこちに手配をして、有利の家の浴室に大量にあった魔力入りカプセルを世界中にばら撒いた。ヴォルフラムが、いつ、どこに現れても良いように。そしてヴォルフラムが地球上で確認され次第、村田自身と有利の所に情報が来るように、全て村田は采配をした。  地球にいる全ての魔族が協力してくれている。有利にはそれがとてもありがたかった。自分一人では絶...

見えない星 another

「それじゃ、行ってくるよ」  周りを見渡してユーリは笑う。  心配そうな顔をする周囲の者達の不安を取り払うように、大きな声で皆を励ました。 「大丈夫だって。予想外の大荷物だけど、今回は眞王陛下が力を貸してくれるってんだから、きっと無事に運べるよ」 「ですが陛下、眞王陛下のお力の大きさは重々承知いたしておりますが、このような大荷物、万一の事がありましたら……」  自信あり気に胸を張る王の前で心配性の王佐は...

見えない星 5

 白み始めた空の真ん中で、ただその星だけが名残(なごり)のように薄く光っていた。もう少し明るくなれば、今はまだ薄っすらと見えているその瞬きも陽の光の中で消えていくだろう。それでもいま少しとばかりに、コンラッドとグレタは動かぬその輝きを見詰めていた。 「ねぇ、コンラッド。コンラッドはあの星を、誰の名前で呼んでいる?」  最も触れられたくない話題を振られ、コンラッドは口淀む。  グレタの前で、彼女の父親達...

見えない星 4

「……それじゃぁ、コンラッド、ヴォルフが消えちゃったのは、コンラッドのせいなの? ユーリは事故だって言ってたんだよ。その事故の原因が、コンラッドって事なの?」  十四歳の少女は、彼の腕の中で少し身を硬くして問うてきた。入れていた力を少し緩めてコンラッドが少女の顔を正面から見やると、戸惑いを浮かべた瞳が彼を覗き込んでいる。そのあまりに澄んだ真っ直ぐの瞳に、思わずコンラッドは視線をそらしてしまった。正直...

見えない星 3

「ねぇ、コンラッド。あなたもここに星を見に来たの?」  開け放った窓に顔を向けてグレタが問う。星明りが淡く少女を照らした。  人が二人、腰掛けるのがやっとの出窓の部分にコンラッドは腰を掛ける。狭い場所で弟と一緒に座った時のように、足を梯子の方に残したまま窓に背中を向けて座り、上半身のみをひねって窓の外に広がる星空を見上げた。  グレタは出窓の張り出し部分で膝を抱えて座っていたが、彼が来て足が窮屈(きゅ...

見えない星 2

「そろそろ戻んないとなぁ」  パシッと音がしてグローブに球が吸い込まれる。それを相手が右手で掴んで投げ返す。 「そうですね、陛下。もうそろそろ戻らないと」  パンッという音の後に肯定を返す。 「あーあ。また面倒な書類を処理しなくちゃならないのかぁ。コンラッド、手伝ってくれよな」  大きく伸びをするユーリにコンラッドは苦笑を漏らした。 「そのような事をおっしゃって、今ではもう読み書きも完璧になり、俺の手な...

見えない星 1

 眞魔国に戻ってからの日々は、とてつもなく幸せで、とてつもなく心が痛かった。俺は常に陛下の側に控え、陛下は俺を片時も離さなかった。 「コンラッドはおれの侍従なんだから、おれの側に控えるのは当然だろ」  そう言って温かな笑顔を俺に向けた。    再びこんな幸せな日々が訪れるとは思っていなかった。焦がれて焦がれて、狂おしいほどに望んだこの日々を再び手に入れる為に、俺はやり方を決定的に間違えたのだ。    許...

懸命に走る 11

 眞魔国へ帰る途中、ヴォルフラムを救出する様々な作戦をおれは村田から聞いた。その一つが王都での“魔力集め”らしい。  以前、プレッテツ国との同盟を結んだ時から、アニシナさんは人間の国でも魔道装置が上手く作動するようにと、魔石で動く装置の実験を重ねていた。ただ、やはりプレッテツ国で採れる微弱な魔力の魔石ではどうも上手く作動しなかったようで、小型のカプセルのような物に魔力を注入し、それを長期保管できるよ...

懸命に走る 10

 早めに朝食を取って急いで支度をし、おれ達はランベールに向けて出発した。街に近付くとより一層被害の大きさが見て取れて、罪の意識が心に重くのしかかった。途中からは建物が崩れて道をふさいだりして馬車で通れなくなってしまった所があったので、そこからは仕方なく馬で進んだ。アオを連れて来てはいなかったので、慣れない馬の背にまたがって、本調子で無いおれには少々キツかったけど仕方がない。やっとの事で王城まで辿り...

懸命に走る 9

「村田! どこだ、ヴォルフはどこにいるんだ!?」  おれは動かない体を兵士さん達に支えられて馬車まで運ばれようとしている所だったが、懸命に村田の方を向いて叫んだ。ランベールに行きかけたコンラッドも、馬首を引き戻して村田の方に慌てて駆け戻って来た。村田は難しい顔をしておれを見詰め、答えた。 「あまり良い状況ではないよ……フォンビーレフェルト卿は、地球に落ちたらしい」 「地球!? それじゃ、おれ、今すぐあっち...

懸命に走る 8

「落ち着いたかい、渋谷」  親友の言葉に顔を上げると、そこには村田、ギュンター、ヨザック、そして眞魔国の十人の兵士達が心配そうな顔でおれを覗き込んでいた。雨はとうにやんでいて、空はすっかり元通りに澄み渡っていた。 「うん……おれ……おれ、ごめん、な…………」  体がだるくて動けない。  コンラッドに抱きしめられたまま首だけ回して皆を順番に見詰める。 「陛下……ヴォルフラム閣下の護衛として同行していながら、閣下を...

懸命に走る 7

「なぁ、もっと、は、早く走れ、ない、かな」 「こ、これ以、上は無理、でございま、す、あてっ!」  麗しの王佐は舌を噛んだらしい。  馬車は猛スピードで大シマロン王都ランベールを目指していた。この辺りは道があまりよくならしていないらしく、大き目の石が転がっていたり道がでこぼこしていたりして、馬車はガタガタと上下左右斜めへ揺すられ続け、それに合わせて乗ってるおれ達も尻はポンポン弾むし、肩やら後頭部やらを...

懸命に走る 6

「待て、その隊列、止まってくれ! 小シマロンの隊とお見受けする! 我は眞魔国、国王ユーリの婚約者、フォンビーレフェルト・ヴォルフラムである! この隊の代表者に面会を申し込む! 誰か取次ぎを!」    朝日が昇りきったばかりの早朝、ヴォルフラムは望みの隊列に追いついた。隊長に話をし、小シマロン王と魔王が後から来るのでそれまでここで待つ事を請い願ったが、大シマロンとの約束の刻限が迫っていると、聞き入れて...

懸命に走る 5

 首が痛くて目が覚めた。  馬車の中でおれは一晩寝てしまっていた。辺りはずいぶん明るくなっていて、東の空が朝焼けで輝いていた。 「お目覚めになりましたか、陛下」 「ああ」  ギュンターの言葉に一つ返事をし、狭い馬車の中でできる限り体を伸ばして背中を反らす。馬車の壁に頭を寄り掛からせて寝ていたせいで、首が片一方に固まってしまっている。そのこり固まった首を反対側に傾げてさすり、視線を下に向けると、おれの膝...

懸命に走る 4

 程なくして眞魔国の兵士が六人来てくれた。ヴォルフラムが指示してくれたのだろうか。彼らの報告では、残りの四人はヴォルフラムとヨザックと共に行ったらしい。二人の後に付いて行った者達は、状況を知らずに行った事だろう。これから『地の果て』の暴走を止めに行く、だなんて知らずに。  ……それだけで胸が詰まる。危険を知らされず、命じられるままに付き従う。それが兵士の仕事だと解ってはいても、やりきれなさを感じずに...

懸命に走る 3

 小さな窓しかなく、夜の闇が辺りを包む今、部屋の中はとても暗かった。  テーブルの上と壁に添え付けられたロウソクの灯りだけが部屋を照らし、静かに微笑むサラレギーの顔を、その金の瞳を、とても幻想的に見せていた。   「今回の事は、別に、小シマロンが眞魔国を裏切ったわけでは無いんだ。それどころか、わたしは今でも、ユーリ、あなたの事が一番大切なんだよ。だからこれは眞魔国の為にしている事なんだ。もちろん我が...

懸命に走る 2

「ともかく入港は果たした。だけど、これからが勝負だよ。海域と違って、馬車での旅は危険が伴う。いくらこの旗を掲げていてもね」    白鳩便の知らせを受けて「海のおともだち」号は進路を大シマロンに変更した。サラレギーがおれを裏切っていた場合……または最初からおれが騙されていただけの場合……今更サラレギーを追ってどうなるものか、という思いもあったが、それでもおれはほんの一握りの希望を手放したくなかった。  そ...

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Author:みんみん
フォンビーレフェルト卿ヴォルフラムを心から愛する主腐です。

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