FC2ブログ

ぽかぽか おひるね

まるマシリーズの二次創作小説、有利×ヴォルフラムメインの小説サイトです。

Archive [2012年08月 ] 記事一覧

故郷に 2

「ねぇ、グレタもそっちに座って良い……?」 「もちろん良いよ。こっちおいで、グレタ」  城に着き、先程の鳥を埋葬しても、部屋で着替えて甘いお菓子を出されても、グレタの表情は明るくならなかった。それどころか久々の一緒の晩餐時でさえ、グレタから笑い声が聞けなかったのだ。カヴァルケードでの事を訊かれれば答え、説明を促せば詳細に話し……けれども、いつものように輝く瞳で身振り手振りを加えて溢れるような言葉を駆使し...

故郷に 1

「見えた、見えて来た! おーい、こっちだ、早く来ーい!」  港の縁も縁、思い切り水際で体を乗り出すようにして大きく手を振るユーリ。思わずむっとしてしまい、いつものように文句が口をついて出る。 「お前ときたら本当にまったく、子供のようにはしゃいでいて! 王としての自覚が欠片もないではないか! 即位から二年半近く経つというのに、どうしてお前はこうも落ち着きが足りないのだ! 王が王女を迎えに、わざわざ港ま...

拍手お礼SS 2010年7月掲載作品 2

(『プレゼント』3話目、城下の視察直後、帰りの馬車の中で)    窓の目隠しが下ろされた馬車の中で、有利は一人もんもんと悩んでいた。今日の城下の視察……という名目で、首尾よく誕生日にヴォルフラムとデートをしたのは良いのだけれど、ここに至るまで切っ掛けがまるで掴めなかったのだ。そう、“ほっぺにちゅー”する切っ掛けを。それは雰囲気作りは男の役目とは言え、恋愛経験値はゼロに等しい有利の事。「なかなかできなくた...

拍手お礼SS 2010年7月掲載作品 1

「村田、助けてくれ!」  有利は真剣な目で親友の両肩をガシッと掴んだ。驚いた村田がほんの半歩後ろに下がろうとしたが、固い意志がこもった両手からはほんの少しも逃げられず、体を揺らすに留まった。 「なんだいなんだい、出会いがしらに。そんなに切羽詰って、一体何があったんだい?」  思わずずれてもいない眼鏡の位置を直した村田は、そうして心の平常を取り戻そうとしていた。そんな村田に有利はなおも間合いを詰めてに...

プレゼント 3

「まったくお前はいつになったらぼくからの贈り物を選んでくれるのだ? ちっともやる気がないだろう……だから最初からぼくに任せてくれたら良かったんだ。城に来る宝石商からお前に似合いそうな装飾品をいくらでも選んでやったのに……」 「だーかーらー。おれ宝石なんてちっとも興味ないよ。そんな飾り、着けたって重いだけだし、そういう高価な物ってば失くしちゃったり壊しちゃったらどうしようって、そればっかり気になっちゃう...

プレゼント 2

「ヴォルフ、あそこ! 焼き菓子の実演販売してるぞっ。見に行こう!」 「おい、そんなに走るな! 大体、お前さっきからうろうろしているばかりで、ぼくに贈って欲しい誕生日の贈り物をちっとも選んでいないではないか! ぼくに贈り物をさせない気か!?」 「そんなつもりはないんだけど……でもまだ時間はたっぷりあるし、な、とりあえず、あれ、見に行こう!」 「仕方ないな、まったく……」  有利が差し出した手をヴォルフラムがし...

プレゼント 1

 その日、風呂から戻って来ると、ヴォルフラムが湯上りマダムの格好のままでベッドの上であぐらをかき、腕組みをしておれを待っていた。寝室のドアを開けた瞬間、まるで、ドーン! と重低音の効果音が流れて来そうな雰囲気でそこに座り込んでいたのだ。ドアの所で立ち尽くすおれに向かってヴォルフラムは一言、 「遅い!」  と言い放った。 「だって……仕事終るの遅かったんだから……仕方ないだろう……?」  ようやく、ほんとによ...

拍手お礼SS 2010年6月掲載作品 2

「ああ……食った食った」  庭の片隅で有利はゴロンと横になる。枕代わりに頭の下で腕を組んで上を見上げると、木の葉の隙間に青空が広がりキラキラ光り輝いている。  こちらの夏はカラリとしていてとても気持ちが良い。風にさやさやと揺れる枝を見ていると、ふいに視界が遮られた。 「ユーリ、腹ごなしに運動するのでは無かったのか?」  何よりも美しい翠の瞳がからかうように真上から微笑む。陽の光が蜂蜜色の髪の輪郭を輝かせ...

拍手お礼SS 2010年6月掲載作品 1

「おーい、渋谷、早く着替えないと、次、化学だぜー!」 「あ、そうだった、サンキュー!」  体育の授業の後、有利は汗が流れる顔を洗いに水飲み場に来た。夏と錯覚するほどに日差しは暑くまぶしい。「あっちぃな」とつぶやきながら蛇口をひねる。次の授業は教室移動のはずだ。さっさと行ってしまった級友達などどこ吹く風で、この場に残る数名の者達は暑かろうが寒かろうが身体を動かす事が大好きな輩ばかりだ。校庭の片隅でわぁ...

拍手お礼SS 2010年5月掲載作品 2

「昨日さ、自習の時間に妄想の空へと意識を飛ばしていたんだって?」 「ぶっ」  駅前の自販機で買ったペットボトルのジュースを片手に公園のベンチで親友と並んで座っていた有利は、飲み物を口に含んだ途端に放たれた爆弾によってそれを見事に爆発させた。 「わぁ、汚いなもう」  村田が顔をしかめて自身のズボンに掛かった飛沫を慌ててハンカチで拭った。 「わり……ってか、妄想ってなんだよ、んなんじゃねーし」 「でも、用事が...

拍手お礼SS 2010年5月掲載作品 1

「おい、渋谷、渋谷ったら」  呼ばれてハッとして振り向くと、己の席の脇でクラスメイトがじっと覗き込んでいた。 「あ、何?」 「何、じゃねーよ。なんだかなぁ……授業中にどんだけエロい妄想してんだよ。すんげぇニヤけた顔してたぜ?」 「や、ち、ちがっ……! そ、そそそんなんじゃねーよっ」  にやり、と笑う級友に向かって慌てて有利は否定するも、相手はにやにやと笑みを向けるだけ。悔しくてなんとかそれを撤回したいと思...

拍手お礼SS 2010年4月掲載作品 2

「それで?」  ベッドの上でごろんと横になって、タオルで髪の雫を拭っているヴォルフラムを有利はぼんやり見ていた。 「ユーリ?」 「あ、うん、ごめん。それで、さ」  手を止めていぶかしげに問うてきた相手に、有利は我に返って頬を染める。濡れて艶やかに輝く髪に見とれていただなんて、ほんのりとピンクに色付いた首筋に見とれていただなんて、絶対に本人には言えなかった。 「なんとか応援できねーかな、って。おれの見た...

拍手お礼SS 2010年4月掲載作品 1

 騒がしい昇降口で有利は貼り出された大きな紙をじっと見つめていた。浮かれたはしゃぎ声につつまれながら、自分の名前を探していく。 「あった」  ふうん、と思ったきり、誰が同じクラスになったかなど確かめもせず、有利は新しい教室に向かう。今日から新年度。新しいクラスメイト、新しい担任に囲まれて、一年間を過ごしていくのだ。 「よぅ、渋谷! 今年も同じクラスだな!」 「ん、よろしくな」  教室に入ると声を掛けて...

月に魅せられて 4

「なんだかなぁ。きみ、変な顔してるよ。どうしたのかな?」  ちょこんと首を傾げて覗き込んでくる、悪戯っけを含んだ瞳。 『……いつもの猊下の気配だ』  目の前の人物に気付かれないように、そっと安堵の息を吐く。 「いえね、猊下の陛下に対するお心がどんなに深いものか、感じ入ってたとこですよ。オレなんかが、命懸けで陛下をお護りする、なぁんて、平気で口にしていた事が恥かしい位ですー」 「ふふふ……まぁ、僕の言い方も...

月に魅せられて 3

 綺麗だった。  静かに微笑む口元が、瞳が、とてつもなく綺麗だった。  青く射す月明かりに反射した眼鏡が、大賢者をより一層神秘的に魅せていた。   『陛下はとてつもなく見目麗しい。もう少し成長されたならば、その美しさは、より一層光輝くだろうという事が想像に難くない、素晴らしい面立ちだ。だが今の段階では、まだ幼さの残る表情が陛下の愛らしさを表面に押し出していて、現段階では美しいと言うよりも可愛らしいと言...

月に魅せられて 2

 そうだな。  どこから話そうかな。   きみは“大賢者”がいつ地球に飛んだか、知っているかい?  ……二千年前、なんだよ。    あの忌まわしい箱を作って二千年間、記憶の中で大賢者と呼ばれた者は、この眞魔国で、来る日も来る日も箱の脅威が訪れないか、いわゆる見張り番をしていたんだ。実質は眞王廟で眞王のお守りをしている毎日だったけど。  不思議な事にその昔、大賢者と呼ばれた者は二千年間、死や老いとは無縁だった...

月に魅せられて 1

 静かにドアが開いた。ノックもされず居住者の許可も得ずその扉は開かれ、訪れた者はするりと部屋の中に滑り込んだ。灯りの落とされた部屋の中。青白い月明かりが窓から入り込んではいたが、扉の辺りまでその淡い光は届かなかった。  部屋の主はベッドに横たえた体を辛そうに起こして訪問者を迎える。暗闇の中でもその気配で判る、この国で、並ぶ者無き貴き方。 「猊下ぁ。このような穢(けが)れた場所にわざわざのお越しとはどの...

有利の悩みと初デート 4

 疲れた後の弁当は最高に美味しい。しかもそれが、こんなに空気が美味しく、景色が素晴らしい場所でなら尚更だ。その上、隣では可愛い恋人が……男らしく、手づかみで豪快に食べ物を口に放り込んでいた。普段はテーブルマナーがどうとかこうとかいちいちうるさいクセに、このギャップはなんだろう。それを指摘してみたら、ついクセで、とかなんとか、よく解らない答えが返ってきた。代わりに笑ってヨザックが答えてくれた。 「坊ち...

有利の悩みと初デート 3

「ユーリ、頂上だ! ほら、ここが頂上だぞ、もう少しだ、頑張れ!」  おれより随分先を登っていたヴォルフラムが、嬉しそうに振り向いて声を掛けてきた。その言葉に、嬉しさと寂しさという二つの相反する気持ちを感じて少し複雑な気分だった。    これ以上の山道を馬で進むのは無理、という所まで来た時、少し開けた場所に馬を繋いでそこからは四人、徒歩で頂上を目指した。相変わらず元気なヴォルフラムが先頭、普段なら山登...

有利の悩みと初デート 2

 ここ最近、渋谷の悩みようったらない。今回こちらに喚ばれた理由が溜まりに溜まった書類のせいだと言うのだから、外政的にも内政的にも問題がある訳でもないので、比較的穏やかに毎日を過ごしているように見える。  ……脳筋族の彼が、書類に埋もれて大変だなぁと同情はするけれど。でもその執務で疲れた様子とは別問題だ。あれは、ただ単に書類との格闘で消耗している、というだけでは無い筈だ。確実に、今、彼には悩みがある。...

有利の悩みと初デート 1

 来る日も来る日も執務漬けのおれの前に、ある日突然村田がやって来て言った。 「渋谷、デートするならどこが良い?」 「は!? 突然何言ってんの、ムラケン」 「僕ね、すっごい退屈してるんだよ。きみはこちらに来てからやる事がいっぱいあって退屈する暇なんて無かっただろうけど、僕は何にもする事が無いから、この十日間、眞王廟の壁に開いてた穴を塞いで、棚を二つ修理して、立て付けが悪かった窓を三つ直して、開閉時にぎぃ...

小説『ぽかぽか おひるね』シリーズ第3章の更新作業終了のお知らせ☆

『ぽかぽか おひるね』シリーズ第3章、移転作業が終了しました。o(*^ー ^*)o全6章なので半分終わった……訳ではなく、ここから1章1章が長いので、まだ4分の1程度しか終ってません。まだまだ先は長いです。(^_^;)まぁ、でも頑張りますね☆( ^ー゚)b グッ♪ここからは、一気に1章UPしていくのは難しいと思います。徐々にいきますので、どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m...

2007年12月 拍手お礼SS

登場人物:有利、ヴォルフラム、村田「ユーリ、良かった、間に合ったな!」 「間に合ったって、何に?」 「なんだ、知らぬ訳でもあるまいに。もうすぐ“くりすます”という行事があるのだろう? 地球の代表的な行事だと、コンラートと大賢者から聞いたぞ」 「ま、まぁな……もうすぐクリスマスだってのは本当だけど、あの二人から聞いたってのが、何気に不安だったりして……またヴォルフは、あの二人に騙されてるんじゃないだろうな……?...

2007年11月 拍手お礼SS

登場人物:有利、ヴォルフラム、村田「おおー、今回の出口は魔王風呂か! もう十一月だから、噴水よりはありがたいな」 「ユーリ! 来たか、待っていたぞ!」 「ああ、ヴォルフ、タオル、サンキュー。ついでにこのまま服脱いで風呂に入っちゃおうかな」 「そうだな、その方がぼくにとっても都合が良い。綺麗に洗っておけよ」 「なんだよ、“都合”って?」 「ああ、実はな、前回お前がこちらに来た時に、“すぽーつの秋”とやらで失...

誓いと約束 6

 お腹に温かい食べ物を入れて身も心も温まった頃。ヘイゼルさんが声を掛けてきた。 「やぁ、坊や、今回はよく頑張ったね……ああ、そんな言い方は失礼だったかね」 「いや、ヘイゼルさん。そんな事ないです。そのままで良いですから」 「そうかい……今回の事には、本当に感謝しているよ。こっちは陛下のおかげでなんとかなった。ありがとう。陛下も、そこのプリンスと喧嘩ばっかりしてないで仲良くやんなよ」 「へ? おれ達、ケンカ...

誓いと約束 5

 おれは周りを見回した。  皆の笑顔がそこにある。    聖砂国の事も、サラとイェルシーの事も、ジェイソンとフレディの事も、ヨザックの事も、それからもちろん箱の事も、全てが一応終わりを見せた。  まぁ、全部の結果に満足したわけではないけれど。それでも、これがおれの精一杯。頑張れるだけ頑張ったんだって、そう言える。  すっかり陽の落ちたこの場所でおれ達はもう一晩過ごしてから、明日帰路につく事になった。  ...

誓いと約束 4

「そ、それは……」  腕の中のヴォルフラムが震えている。 「ん、何?」    おれは優しく答えながら、腕の中のヴォルフラムの髪を撫で続けた。  耳元で、浅い息が聞こえる。  ……男なのに、可愛らしい、なんて言ったらこいつ、怒るかな?  だっておれだったら、そんな事言われたらイヤだもんな。  でも、そう思っちゃうんだから仕方ない。  ヴォルフラムは、可愛い。   「ユーリ、それは、もしかして……。  …………。  ……あ、...

誓いと約束 3

 ヴォルフラムの視線を物凄く感じる。  何から話したら良いのか……。   「ヴォルフ、あのさぁ…………覚えてるとは思うんだけど……以前眞魔国で、おれがこちらに来ていると眞王廟から連絡が来たけど、おれは全然見つからなくて、みんなで散々捜した時があっただろう? ……あれ、おれは本当に、あそこにいたんだよ」  ヴォルフラムが小さく息を飲んだ。 「おれはなぜかあの時、精神体だけで眞魔国に渡って来たんだ。肉体の方は地球に...

誓いと約束 2

「……ユーリ、眠ってしまったか……?」 「いや、ヴォルフ、寝てないよ」 「そうか……」    枕に顔を押し付けていたおれが静かになったから、そう訊いてきたのだろう。ごまかせていたとは思えない。でも、ごまかそうとも思わなかった。  ただおれに背中を向けて、おれが落ち着くのをじっと待っていてくれた事が嬉しかった。    泣きたい時には泣くんだ。  我慢して、我慢して、それでもどうしようもない時は泣いたって良いんだ。...

誓いと約束 1

 嘘つき。  嘘つき、嘘つき、嘘つき。    何度その言葉を胸の内で繰り返した事だろう。  ずっとおれの側にいると言ったのに。  もしもおれが一人で突っ走ってしまっても、後から必ず追いかけて来てくれると、そう言ったくせに。    ヴォルフラムの嘘つき。  どうして、今、お前はここにいないんだ?    お前が今、隣にいてくれたら良いのに、って何度思った事だろう。    矢で受けた傷はどうなった? 『毒女アニシナ...

ご案内

プロフィール

みんみん

Author:みんみん
フォンビーレフェルト卿ヴォルフラムを心から愛する主腐です。

アクセスカウンター

オンラインカウンター

現在の閲覧者数:

最新記事

最新トラックバック

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

右サイドメニュー

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

QRコード

QR